漫画雑記

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魂への執着は恋愛感情になりえるのか『この愛は、異端。』ネタバレ・感想


魂が宿った時からずっと見ている

 

この愛は、異端。 森山 絵凪 ヤングアニマルコミックス 白泉社全3巻※続編開始予定あり

 
あらすじ

事故で両親を亡くしただけでなく、多額の負債を抱えた淑乃は親戚の家を転々としていた。
だが、その行く先々で淑乃の体は狙われ、そのことで揉め体罰を加えられていた。
この生活をなんとかしたいと思った淑乃は自殺しようとするも、何故か助かってしまう。
どうしたら良いかと悩む淑乃は古本屋で悪魔の呼び出しについての書物を手に入れる。
半信半疑で書かれた通りのことを行うと、悪魔・ベリアルが現れた。
そこで願いを叶えるためには対価が必要で、それは淑乃の体だと知る。
本来は寿命と魂の譲渡が必要だが、淑乃の魂は貴重だからこそ、これだけで良いと言う。
ただし、願いを叶える度に対価は必要で淑乃が死ぬまでずっと一緒だと告げる。
内容に淑乃は泣きだしたことで、貴重な魂の持主であるから特別に対価の内容を変えるというベリアル。
それは、キス。
そして年齢とともに舌を入れ、愛撫を加えるというものだった。
ただし、願いが生死に関わる場合は魂を渡してもらうと付け加える。
そのくらいなら、と淑乃は了承し契約書に署名をするのだった―…。


ポイント

・悪魔と少女
・ベリアルの人間バージョンは淑乃が見ていた雑誌のモデルを参考
・一緒に住むために戸籍や人の記憶など改竄しまくり
・契約者の心は読めない
・淑乃の「淑」は貞淑の淑だから貞操観念はしっかり。
・本来は肉体のところをキスと愛撫で留めたのは淑乃が泣くから
・何かあるごとに様々な欲望をちらつかせ体を寄こせと言う
・天使が堕天して悪魔になる
・悪魔だから肉体への快楽を与えた後、魂を奪う
・残虐要素としては女性に対しての性行為、淑乃を狙う者と戦い血まみれ
・感情のすれ違う場面が多いため互いにうだうだしている。

悪魔と少女。
しかも、母親の体内に宿った時からのストーカー。
その後は自分以外が攫わないように監視。
両親が亡くなった後は何とか自分の手元に置いて更に必死。

いわゆる光源氏計画、というとなんだか一部の人以外からは警戒されそうですが淑乃は流されているようで流されていない。
でも、ご飯奢ってくれる人は良い人だと思ってしまうくらい純粋(?)な淑乃。
そして、魂はもちろん肉体も手に入れたいベリアルとの攻防戦をシリアスとギャグと激し目なエロスで見せてくれる作品。
基本的にベリアルが淑乃に甘いので、振り回されているのが可哀想で可愛いです。

ヤングアニマル増刊嵐』掲載ということなのですが、かなり激し目な描写。
ナナとカオル』(甘詰留太)連載していた雑誌ですものね。※高校生のSM話。ライトというよりはかなりがっつりの拘束やお散歩プレイもあり。
考えたら『ヤングアニマル』自体『ふたりエッチ』克・亜樹)の掲載誌ですからね!※ただし、内容は性教育的要素込み。全話読んでないのですが、今も続いていていつの間にか83巻(2021.5現在)
連載終了後は更に激しさを求め”エロスな電子雑誌”『ハレム』に移籍。※エロスな電子雑誌は公式のコピー。凄い。
その割に内容的には余り変わりなく、年齢制限もついていません※ハレム自体年齢制限ありませんから当然です。
年齢制限はついていませんが、対価が愛撫なので苦手な方は注意。

二人とも契約関係、ということが常に頭にあるので周りから見れば「それは恋愛感情なのでは?」と思うような行為も全て「違う」と思いこもうとしている。
ベリアルは悪魔ですし、「淑乃の体(魂)が手に入らない=仕事にならない」ため他の女性と関係を持ちます。
そのことに淑女は気付いていたり、気付いていなかったり。
気付いてイライラしますが、ベリアルからすれば「仕事」なので仕方ないですし、淑乃が体を差し出してくれるわけでもない。
それゆえ更に二人は感情の行き違いが続きます。
小さな頃からずっと見守ってくれていて、優しい。
両親も誰もいないのに、ベリアルだけは「対価を要求するとしても」安心できる存在。
でも、全て「肉体魂という対価のため」ともわかっている。
わかっているけれど、ベリアルだけは裏切ることがないという圧倒的な安心感
どんなことも「お願い」と言いながらキスして願いを叶えてもらってきた。
対価を与えているのだから、当然、という態度。
でも、ベリアルの正論に泣きそうな顔になればベリアルは淑乃をどこまでも甘やかす。
自分に甘いということを自覚しながらも、悪魔だからと線引きをしているくせに「お願い」と口にする。
矛盾が生じているのに「対価のため」だと言い聞かせいずれ連れて行かれる魂はともかく、心までは絶対に渡さないと決めている。
そして、ベリアル自身も「かわいいかわいい私のよしの」と何度も何度も言うし思うのに、淑乃ちょっとした行動などは全て「契約の為」だし「人間相手に恋愛感情など生まれるはずがない」と頑な。
話し合えば終わるんですが「それを言っちゃぁおしまいよ」ということで。

ちなみに淑乃の魂は貴重なもの(五千年に一人レベル)なので悪魔だけでなく神様も狙います。
そこにバトル要素も含まれまれ、残虐なシーンもあります。
ベリアルは悪魔で快楽を与えた後は魂を貰いますし、無理矢理行為を行い周りに女性が転がっていたりもします。
だからこそ、淑乃への接し方との差が目立つ。
それなのに、互いに恋愛感情が生まれるはずがないと思っているところが、何とも。
触れ方などからもよくわかるのに……。

この作品に限らず人外と少女という組み合わせは大好きでして、今回は悪魔でしたがどんな人外も良いです。
魔法使いの嫁』(ヤマザキコレ)の人気もあり多くの作品を見る機会が増えて嬉しい。
アンソロジーだけあって『異種恋愛物語集』もなかなかはっちゃけた内容だった。
人外なので対象が無限ですよ。

現在15巻まで出ていてまだ続いています。


四集まで出ています



森山先生の絵はカラーはキラキラしていて装飾等が美しい。
モンテ・クリスト伯』(小説のコミカライズ)はエデの衣装が毎回美しかった。
口絵も綺麗です。
耽美系と表現して良いのかな。


アニメ版:映像が格好いい。テクスチャ盛り盛りなので好みが分かれそう。

ドラマ版:ディーンさんの曲がクセになる。



 恋愛要素が多いので、もだもだした恋愛物が読みたい!
適度にいちゃつきとエロス要素も欲しい。
何より人外が大好き!な方にお勧めしたいです。

 全3巻※続編はまだ連載していませんが、決まっています。

こちらは本編の連載終了後に連載した作品。
その後の話ではなく、過去話になります。
限定版は44ページのイラスト集付き。
サイズはコミックスと同じで収納するのに良い。
漫画はないので先生の絵が好きな人にお勧め。
描き下ろしもありますが主に今までの扉絵などを収録。

紙書籍等

電子書籍