漫画雑記

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『新美の巨人たち』手塚治虫先生

手塚治虫ジャングル大帝』×シシド・カフカ、ということで観ました。

当時のままに東京都豊島区に再建築されたというトキワ荘(有名な漫画家が集まっていたというアパート)にて特別展『トキワ荘と手塚治虫 ―ジャングル大帝の頃―』(4/7~9/5)がやっているということで『ジャングル大帝を中心した番組でした。
シシド・カフカさんが『ジャングル大帝』を読みながら先生ゆかりの地を回る、という内容。
大人は500円、小中学生は100円。
階段の軋みまでも再現したトキワ荘に行ってみたい、だけど東京までが遠いです。

コメントは夏目房之介さんと里中満智子先生。
夏目さんは先生の手法について語り、里中先生は線について語っていました。
夏目さんは手塚先生について本を書いていますし、里中先生はアトムTシャツ着ていましたよ。

里中先生いわく「漫画化にとって線を引くということは覚悟」(要約)とのこと。
あと、手塚先生の逸話としてアタリ(だいたいの形、たまに丸のみ)だけとって直でペン入れしていたという話をジャングル大帝が連載されていた『漫画少年』の出版社学童社の創設者の息子である加藤さんが語ってました。
アタリだけであの絵か……。
それまでにどれだけの量を描けばその域に達せられるのか
落書きじゃなく、原稿用紙ですからね……それを掲載されるわけですからね。

今でもたまに聞く「原稿を無くされてしまい単行本化できない」という話。
手塚先生の『ジャングル大帝』もあったそうで、先生描き直したとか。
15年も経っていたらいくら神様でも線は変わりますし、造詣もかわってしまいますよね。
レオもの凄く可愛い寄りになっていましたね。
確かにこれが手塚先生の「レオ」だっていう。
元のレオはそういう可愛さが少し無い。
番組内では「本物のライオンに寄せていた」と表現されていました。

しかし、この原稿無くすあるある……。
担当が取りに行って電車の中に忘れたとかいうのもアレですが、どうなったかわからないけれど、とにかく無いのは本当にどうなっているのですかね。
手塚先生も作品は子供のような存在なのでと言っていたように、そうですよね…。
これがきっかけで出版社と縁を切る作家もいますものね…※手塚先生がそうだとは言っていないです。
作家からしたら自分の想いを込めた作品を無くす、というのはそれだけの思い入れがないのかな、と感じてしまいますよね。

所有している中にも当時の掲載誌をそのままスキャンして単行本にしている作品もありますが、凄いですよね。
もちろん当時のコピー付きです。
××に○○先生初登場!みたいな煽りもしっかりあります。
でも、欲しいのでそれでもいいからとにかく単行本化してほしい、と思う読者もいますしね。
読めないのが一番つらい。

番組で取り上げられていましたが『ジャングル大帝』の生原稿、画面越でも見るとびっくりしますね。
凄いな。
デジタル全盛の世の中で何を言っているのか、と思われそうですがやっぱり線の美しさはあると思っています。
やり直しがきかないというあの美しさ。
いや、まぁ修正液ベタベタな藤田和日郎先生や切り取って新しい紙を張る方法もありますけど、生原稿って特別だと思っています。
デジタルの方が便利だし何度でも修正きくし……らくがきしかしない程度でもデジタルに浮かれる私もいますし(矛盾)

シシドさんがつけペンでレオ描いていましたが、上手いですね。
可愛さアップのためにまつ毛足してましたけど上手い。
里中先生も描いていましたよ。
つけペンって結構力加減が難しくて不器用な私は思った様な線が引けず、やはりプロの線の美しさって素晴らしいな!と思ったものです。
今はデジタルでもペンの強弱上手く出るので上手い人は遜色なく出来るかもしれません。
あと、絵の雰囲気もありますしね。
BLACK LAGOON』(広江礼威)辺りは本当にどこで切り変わった?というくらいだと思っていますけど。
寧ろ広江先生はもっと早くデジタル化していると思っていた。
あと、絵に拘りがある先生がデジタルを手に入れると大変なことになる、ということは三浦先生(『ベルセルク』)と村田先生(『ワンパンマン』)の発言でよくわかってます。
どこまでも拡大できる!とウッキウキで語られていますものね……。
際限ない修正です(作画が終わらない)

話がそれましたが何が言いたいかと言うと、アナログならでは美しさがあると思っています。
でも、デジタルの美しさはまた別にあると思っています(おい)
つまりは神様(作者)のものであるならば、喜ぶという話です。

手塚先生は700タイトルほど描いたと紹介されました。
ちなみに持っている作品は『奇子』(全2巻)という近親相姦ものです。
手塚先生の女の子は本当に可愛いのに、色っぽいというかえろくて何とも言えない気持ちになりますね。
セリフもそうですが、目の伏せ方、まつ毛の感じ……妙な色気なんですよね。

面白い番組で良かったです。