漫画雑記

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『九龍ジェネリックロマンス』42話ネタバレ・感想

後に生まれた人格は最初を超えるのか?

九龍ジェネリックロマンス 眉月じゅん ヤングジャンプコミックス 集英社

42話

あらすじ
 「胡蝶の夢」という映画を見た令子はその感想を楊明に語る。
だが、楊明の反応は悪く、それよりも鯨井Bについて考えろ言う。
楊明の剣幕に押されるも、楊明が手にしている生地を見た令子は映画にも楊明が好きそうな生地が沢山出てきたと言うが、その言葉に過敏に反応する楊明。
楊明の態度に令子は悩みがあるなら話してほしいと言うも分かるはずがないとすげない対応をされ、そのまま楊明は走り去るのだった―…。


以前から楊明の「胡蝶の夢」に対する反応が大きかったので「楊麗」という女優さんが整形したのかな、なんて思っていましたが考えたら年齢が違い過ぎますよね。
タイムワープものだったらアリなんですが、流石にクローンだのジルコニアだのいう世界に更にタイムワープまで追加したら収拾つかないといいますが「何でもアリ」になりますしね。
ただ、整形の進化が著しい、ということから老化をどうにかしているとかもないのかな。

今回その謎が解け「楊麗の娘」ということが判明しました。
ここに「自我」をかけてくるんだな…。
楊麗にそっくりな楊明。
何をするにも母親任せ、というよりは「母親が絶対」に近いのかも。
自分の好きなものがあっても「母親が選んだものの方が間違いない」と思い込んでいる。
これは長年の生活ゆえ仕方ないのかも。
父親の存在は語られていませんが、どうも母親が「自分のクローンを作っている」感が否めない。
前回のみゆきちゃんの回は父親からの脱却のための復讐だけど、楊明は母親からの脱却のための整形なのかな。
しかも、母親が自分のクローンを作ろうとしていることに対してへの反発の結果なのか、はたまた一人になり周りから強いられたことに嫌気が差したのかは不明ですが、結果としてみゆきちゃんたち蛇沼グループ推進の整形(クローンやジルコニア含む)に頼るあたり何とも言えない気持ちになりますね。
そっくりな母親の容姿を捨てても、自分の選ぶものは母親由来のもの。
過去がない令子との対比になりますね。
過去を捨てたはずなのに、どうしたって記憶がある限り完全に逸脱できない。
それをもどかしく思い、整形するけど、容姿だけじゃダメなことをまざまざと突き付けられる。
しかも、その相手は過去がない令子で、鯨井Bのことを一緒に考えるって言ったのは自分。
過去を探したい、知りたい令子と過去から逃げたい、忘れたい楊明。

今回はかなり楊明と令子を対比させていたのだけれど、最後に令子が手に取るのは「ジルコニア製のピアス」なんですよね。
ダイヤモンドと似ているジルコニアの輝き。
ここがもう、ジェネリックロマンスの核みたいなものなんだろうし、その前の場面では商店街の風景と空に浮かぶジェネリックテラですよ。
楊明はこの先令子とどう向き合うのかな。
令子は「今」しか知らないから今回二人の間に浮かび上がった問題をどうやって片付けて行くのか。
楊明の方がトラウマというか、過去があっての問題だから上手く処理できずにいそうだし、令子に何を言われても、例えそれが正論だとしても「わかっているけれど」という心境になりそう。
人生のやり直し、自分を取り戻すために過去の姿を捨てているわけだしね。
どんな言葉なら、どんな行為なら楊明に届くのだろう。

ジェネリックは後発だけど効能近いよ!もちろん、更に進化させるよ!なタイトルといい、この辺りどうやって畳むのかな。
みゆきちゃんは父親が生きているから復讐(これも何をもって復讐と呼ぶのか)できるとして、楊明はそこまで考えていなくてただただ「自分探し」をしているだけなのかな。
そもそもみゆきちゃんの復讐って父親から全てを奪って壊す予定なのかな。
もう、グエンさんと一緒に幸せになればいいのに……。
復讐は復讐しか生まないって今までの人たちも言っているのに……。
でも、復讐したい側からすればそんなこと綺麗事でしかないものなぁ。
わかっていてもどうにもならないし、破滅するって思っても引き返せない。
それが「復讐」だろうなぁ。
復讐が完全に成功すれば幸せヒャッハーになると思い込んでいる人もいますけど(大抵最期は大変な目に遭う。フラグが立ちっぱなしでしかない)

ロマンスとタイトルについているし、実際工藤さんと令子と鯨井Bの話でもあるけれど、自分探しが中心で終わるのかな。
全員過去との決別、もしくは過去を受け入れた後どのように生きて行くのか。
過去はもうどうすることもできないけれど、未来はどうにかできる。
ジェネリックテラまで辿り着けるのか。
そろそろ小黒のことも明かされますかね。
掴みどころがなさ過ぎて大きな何かを抱えていると思っているけれど、これミスリードなのかな?
あと、開かない扉や消えた(とされている)人とかも。
かなり進んだ感が出てきた気がします。