漫画雑記

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『九龍ジェネリックロマンス』49話 ネタバレ・感想

後に生まれた人格は最初を超えるのか?


あらすじ

九龍にいたころから診てもらっていた香港にある汪診療所に行くみゆき。
そこで自分に子供は産めるのかと尋ねる。
みゆきは半陰陽という男性、女性両方の性器を持っていた。
汪先生によるとそれは無理。
そこへ幼馴染みのユウロンが現れ、ジェネリックテラの話をする。
みゆきの復讐は父親が生き返りを望んでいる息子の複製に記憶を与えない事。
戻って来たと喜ぶ父親に絶望を味あわせたい。
汪先生は復讐の虚しさを説くも、みゆきには届かない。
汪先生はみゆきに心は生み出せる、と告げる。

九龍とクローン書き続けていると、ダジャレっぽく感じてきますが、どうですか。
ここからヒントを得て作品が始まったとかはないと思いますが、書き間違えそうになります。

今回はかなり核心に近づいた内容でした。
今までの予想は思い切り外していますが(…)、とにかく謎が明かされていく感じが強い内容だったので良かった。

みゆきちゃんの復讐→亡くなった息子のクローンを造ることが目的の父親に器だけの息子を造る
ジェネリックテラ→記憶を復元できる。
九龍城砦→死者もいる街。九龍自体見える者と見えない者がいる。
みゆきちゃんの体半陰陽。診察している医師によると妊娠は出来ないし、人工授精も出来ない。
みゆきちゃんの母親→体が弱く病死。
みゆきちゃんの幼馴染み登場→ユウロン。ジェネリックテラ推進派。みゆきちゃんの復讐に関しては面白いから止めない派。
汪診療所→香港にある。みゆきちゃんを小さな頃から診ている。みゆきちゃんが信頼している先生。
九龍で生活している死者→ユウロン曰く、彼らこそが自分たちが求める”ジルコニアン”。

父親への復讐心が強すぎるため母親関連での復讐かと思いなんなら母親を器にするのかとお思いきや、まさかの死んだ義理の兄弟のクローンを造ってみせて中に生きていた頃の記憶を入れないただの器を父親に渡し、絶望する姿を見たい。

……何がどうなってその復讐を……。
これって結局みゆきちゃんにとって「クローン(ジルコニアン)」はあくまで器ってことなのか……。
せっかく造ったものでその中身を入れないということは愛着も何もないわけですしね。
ところでクローンやジルコニアンは殺したとしても殺人にはあたらず物扱いなのかな。
感情があるなら(記憶が違えど)殺人になるのだろうか。
記憶の消去、となると何罪に問われるのかなど考えたところで蛇沼グループによって全部消されそう。

九龍さえも蛇沼が奪った、というのも壊すことに参加したとして蛇沼がそこまでする何か、あるのだとは思いますがまさか、ここで風水ネタだったらどうしよう。
この土地には~みたいな展開…。
死者の街設定まできてるし。

ジェネリックテラでは記憶の復元が可能。
……消えた人、本当にそこにいるんじゃないの?
みゆきちゃんの父親(蛇沼家)への復讐心も相当だけど、父親は父親でやっぱり執着が凄いな。
亡くなった人間を別の器に入れて記憶を植え付けて生き返らせようとしているわけですよ。
しかも、政府とズブズブの関係になりジェネリックテラを私欲で利用しているわけですし。
そのような形で生き返らせた人たちで溢れるジェネリックテラ。
天国になるのか、地獄となるのか。
それはその時の記憶によりますよね。

あと、九龍にいる人たちの中には死者がいる、と明言されましたが……となると、そこに行き来できる人々はどうなっているのかな?
グエンさんはすでに偽グエンがいる…ということは死んでるの?
みゆきちゃんは偽物がいないから生きているの……?
でも、死者の街以外でもグエンさんは生きていたわけですし、ここの説明をどうするんだろう。
死者の街、ということではっきりとその街の物を食べると取り込まれる(共同体)になるというせんと千尋(あれは契約前に勝手に食べた、という意味もあるだろうけれど)、あとは古事記か。

でも、こうなるとすでに九龍の食物を食べている工藤さんはどうなっているんだろう。
決まった物・店でしか食べない=その店の食べ物は九龍のものではない
この前提があるならば、理解できるけれどすでに令子に勧められた店でも食べているし。
彼は本物だということだけど、そうするとみゆきちゃんと共通の何かがあるのかな?

みゆきちゃんの幼馴染みは九龍が崩れた状態でしか見えない。
グエンさんを送り届けたタクシーの運転手さんと同じ。
見える人と見えない人の差、入る事が出来る人と出来ない人の差。
死者の街でもある九龍、となるとその境目になにかあるはずなんだけど、その門的なものはまだ描かれていない※グエンさんはすでに中にいる状態が描かれているのみ。
そして、令子は黒子の位置まで同じということから製造されるクローンでもジルコニアンでもない。
記憶は別のものが入り込んでいるから器が同じで中身が違う。
蛇沼グループが目指すものとは逆。
ただし、ユウロンは死者の街で生きている人たちこそが「自分たちが望むジルコニアン」と言っているから…この辺りも難しい。
あの姿が理想形、だとするならば完全に死者の国にいる人(本人)に記憶を移し続けることが可能で、そこから漏れた人が令子かもしれない。
実験失敗、みたいな。
ただし、彼らが実験をしているとするならば基本「クローンもしくはジルコニアンが対象」なはずなので、令子がどうやってその例外になったのかは今後明かされるはず。

ところで、みゆきちゃんが父親に差し出すための器として見つけた子供って……あの飴の包み方を教えた子なの……?(31話)
だとしたら、あのほっこり話が鬱々話でしかない。
だけど、あの子ならもしかしたら直前でほっこり想い出補正で思い留まるのかな?

あとみゆきちゃんの秘密。
みゆきちゃんの妊娠については、今までみゆきちゃんを診てきた医師の判断によると、という注意書きになるため本当に可能性がゼロなのかどうかはわかりません
みゆきちゃんが人工授精出来ないと知り安堵しているので、もし可能性があったら父親に何かされるとかだったら嫌だな……。
あと、人工授精云々の前にグエンさんとの子供とか……そういう展開も否定できなくなってくるな。
あれほど強い復讐心だと子供が出来て諦める、という展開も考えられるし。
今回みゆきちゃんの体については何かしらの伏線じゃないとそこまでの設定にしないと思うのだけれど……。
単に子孫云々のためなら、体質の秘密までは入れないだろうし。

みゆきちゃんにはグエンさん以外にも信頼できる人がいて良かった。
ただ、汪先生の含み加減などからみゆきちゃんの知らない事実などもありそう。
ユウロンさんは何卒何もありませんように。

九龍城砦が見える人と見えない人の差についても明かされると思いますが、ここの説得力をどうやって持たせてくるのか楽しみ。
思い入れの強さなどが条件となっているわけでもないとなると、何かしらの意味があると思うし。
ユウロンが言うように九龍がどういう造りなのか分からないけれど、で終わられるともやもやするのでここを本当にどうまとめてくるのか。

令子と工藤さんの恋愛事情もそうだし、このままスピードを上げて謎が明かされていくといいな。

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