漫画雑記

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男女の入れ替わりギャグ!『僕と彼女の×××』感想・ネタバレ


男女入れ替わり物だけど、クセがあり過ぎる!



僕と彼女の××× 森永あい MGC WEB COMIC Beat’s SERIES 全8巻+番外編
(掲載誌など変更有レーベルは番外編のものを記載)
最終回についても言及しているため激しくネタバレしています。

 
あらすじ

上原あきらは桃井菜々子のことが好きだった。
菜々子の外見は誰もが認める美少女だが、中身はがさつ。
あきらの親友でる千本木は一体何処がいいんだ?というも、あきらは菜々子を想い続ける。
しかし、菜々子の祖父が作った機械によって二人の中身が入れ替わってしまう。
好きだった女性の体に入ってしまいとまどうあきらに対し、菜々子は困った様子もなく順応していく。
その事に対し複雑な感情を持つあきらだった―…。

あらすじだけだと映画『転校生』(原作:山中恒おれがあいつであいつがおれで』)が有名の中身が入れ替わる男女逆転物なのですが、ここからが森永あい先生の見せどころですよね。
※日本では1932年に発表されたサトウハチローさんの『あべこべ玉』が最初の中身入れ替わり男女逆転作品とのこと。

何といっても特徴はキラキラした絵で下ネタが強いギャグを平然と放りこんでくるところ。
前回挙げた野崎くんもキラキラした絵柄でギャグなんですが、下ネタはそこまで入れてこないですし、やんわりですよね。

主にその担当は堀先輩なのも…年上だから?
あきら君は必死に抗うも、菜々子ちゃんの順応っぷりが凄くて男の体最高!といろいろしまくるわけですよ。
あきら君には自分の体に何かしたら許さないと言うくせに、あきら君の体は好き勝手しまくるわけですよね。

あきら君は菜々子ちゃんが好きだし、早く元に戻りたいと思っていますが、ここで新たな展開。
菜々子ちゃんの親友椎名真琴ちゃんが菜々子ちゃん(体はあきら君)を好きになり、そのまま付き合いだす。
あきら君としてはショックですよね。
自分は早く元に戻りたいし、まだ菜々子ちゃんが好きなわけですから。
そして厄介なことに千本木くんがあきら君(体は菜々子ちゃん)に惹かれ出すという…。
お互いの親友が性別変わった途端好きになってくる展開。
もともと、性別が違ってたら好きになるかも、と言っていたけれどこれほどまでとは…。

そして体に引っ張られるかのように感情も揺れてしまうため、菜々子ちゃん(体はあきら君)と椎名さんは付き合うことになります。
千本木君のアプローチを交わし続けていたあきら君(体は菜々子ちゃん)も千本木君が気になりだす展開に。
自分が好きなのは菜々子ちゃんのはずなのに、千本木君といるとキュンキュンと胸をときめかせるあきら君。

 結局あきら君と菜々子ちゃんは元の体に戻りたいのか否か。

ここが争点だったわけですが、戻った後にやっぱり入れ替わった後の体がいいと今までの体を選ばないんですよね。
最初は生まれた体が大切だから元に戻りたいと言っているけれど、最後は自分にしっくりくる「器」を選ぶ形で決着をつけるわけです。
性別による体と精神による体、体はただの器なのか否かなどの問題。

外見よりも中身だ、という話ではなく元々「性別が違っていたら付き合っていたかも」というのもこの結果からすると重い。

恋愛において精神と体では体が優先されるというか最重要なのか、という。

もちろん、好きな人がその外見込みで好きだからこそ成り立つとも言えます。

千本木君も椎名さんも外見は元々良いと思っていたわけですし。
そこに中身が一番の親友が入りこんだことで恋愛に発展する。

 

ただ、元通りになっていたとしたら、同性同士でくっついたんだろうか。
千本木君は以前からあきら君を好んでいるみたいだし、なおかつ同性のままでも好きになると言いますが、あきら君は一応拒否している。
そして菜々子ちゃんと椎名さんに至ってはどちらかわからない。
もしこの展開でも同性の親友を選ぶのであれば体は「器」でしかない。
(※このように表記するのは、入れ替わる前は異性愛者設定だからです)

ただ、最終回で結局あきら君と菜々子ちゃんは元の体を選ばず、入れ替わった体を望むわけです。
同性同士の間も付き合っていたけれど、話の内容からすると特に何もしていない可能性が高い。
ということは、やっぱり体が大切なのかな、と思いました。
元に戻った途端、この日を待っていたとばかりに二組とも二人きりになる場所へ行くわけですし。

入れ替わり物の中でも明らかに「肉体に精神が引っ張られた話」になったと思います。
また、生まれた時の体に戻った後、もう一度入れ替わりたいという展開も凄かった。

ギャグが多いし、下ネタ色も強いからふわっとしがちですが、書くに辺りもう一度読み直したのですが結構な内容でした。

番外編では菜々子ちゃん(体はあきら君)と椎名さんが入れ替わるための装置を作ってもらっています。
ここだけ読むともしかしたら体と精神などはどうでもいいのかもしれないとも思いました。
それってもう色々と互いのことを知ると言う意味もありますが、ほぼプレイの一環だろう…という気がしてならない。
あくまで話として入れ替え物を取り入れているだけなのかも。

番外編(9巻)は大人に元に戻る話が最終話になるのですが、少し絵が歳を重ねたせいか大人っぽいというか印象が違うのでてっきり期間が空いていたのかな?と思ったのですがそうでもなかった。
この後あきら君(体は菜々子ちゃん)と椎名さんは子供を産むところまで描かれています。
ここはしっかり描くんだな、という意味でここまで描ききったのが凄いと思いました。

※森永先生は2019年に亡くなられていて、もう新たな作品を読む事はできません。
今まで本当に素敵な作品を有難うございました。

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